愛されオーラに包まれて
◎玲奈さんと愛されオーラ~side HARUKA~
平静を装うって、難しい。

桐生さんの顔がまともに見られない。

自然と目立たないようにしてしまい、口数も減っていた。

火曜日。

ランチの時間が合ったから、朱里と一緒に社食で食べることにした。

『ねぇ、どうだったのよ、歓迎会。ちゃんと局長にアピールできたの?』
「うん。でも軽くアシらわれちゃった」
『だろうね。だから言ったでしょ。高望みし過ぎだって。私のように堅実にいこうよ』
「私のようにって?」

朱里にも想い人がいるってこと?

『私は、桐生さん狙いだから』
「は?そ、そんなの初耳だよ」

朱里に歓迎会の後の顛末を洗いざらい語ろうと思ったのに、これじゃ、無理だよ。

さらに憂鬱になってしまった私。

午後になって、どうやら桐生さんは外出で不在。

私がパソコンで書籍の売り上げ調査をしていると、目の前から視線を感じる。

『ねぇ、遥香ちゃん。昨日から元気ないよ。大丈夫?』
「大丈夫です。元気ですよぉ!」

空元気だった。

『遥香ちゃん、ピーンチ』

玲奈さんには誤魔化せないか。
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