愛されオーラに包まれて
『そんな時は、目の前の先輩に頼ろうよ』
「玲奈さん?」

すると、玲奈さんは満面の笑みで、

『明日、夜飲みに行かない?』
「え?だって玲奈さん、時間ないんじゃ…」
『年に数回、私だって自分のために時間を使いたいの。だからそのうちの1回を、遥香ちゃんのために使うから、よろしくね』

"さて"と、玲奈さんは立ち上がり、書類を持って局長に印鑑を貰いに行ってしまった。

玲奈さんが、私のために?

これは、嬉しすぎるでしょ。

ちょっと、いやかなり、やる気が出てきた。

そして、翌日。
定時のチャイムが鳴っても先に帰る気配がない玲奈さんに、隣の小津さんが、

『あれ、金澤さん、帰らないの?』

すると玲奈さんは微笑んで私の顔を見ながら、

『今日は遥香ちゃんとお楽しみ会なんです。遥香ちゃん、出られる?』
「あ、はい!」

"じゃ、私達、お先に失礼します"と玲奈さんと一緒に会社を出た。

どこか歩いたり、ちょっと電車乗るのかと思ったら、玲奈さんにタクシーに乗せられた。

着いた先は、ん、誰かの家?
違う。きちんと看板はある。

【wood village】って。

あ、聞いたことがある。

先月号のうちの雑誌【Girl’s Leaf】の"人気シェフの隠れ家的レストラン"の特集で紹介されてたところだ。
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