哀しみの瞳

友情

高校受験もいよいよ大詰めになってきた頃親友の武が家に来ていた。知らずに僕は理恵を自分の部屋に連れて来てしまい武と理恵が対面することとなった。母の君子が出てきた。「秀ちゃん、武ちゃんが来てるわよ。あらっっ理恵ちゃん何でぇ、めったに家には来ないのに、今日はどうしたのかしらぁ?秀ちゃん夕食は?ああっそれとも武ちゃんと何か食べるぅ?武ちゃん貴方の部屋で待ってるわよ」「はい、どっちでもいいけど今は理恵に本を見せてやるの先だから、欲しい物があったら自分で取りに来ますから、母さんは休んでて」「ええっ…理恵ちゃんに本を?理恵ちゃん、悪いけど、秀ちゃんは今受験で大変なのよ!分かるでしょ?」「僕がいいと言って連れてきたんだから母さんは黙ってて、理恵 部屋へ行こう!」理恵は俯いて泣きそうだった。肩を掴んで無理やり連れていった。「おおっ武来てたのか?」「おおっ勝手に入ってたぞ。何かお前の部屋は相も変わらず一辺通りだな!いつどこで勉強してるんだか。こりゃその形跡がまるでないぞ!」「なんだ、お前受験前に偵察にきたのか?それとも勉強教わりにきたのか?そうだろう?」「あれっ、その子 誰?」「ああっ理恵ごめんごめん」「僕の友達のたけしっていうんだ」「武、俺の従兄弟の理恵だ」「こんばんは…」「小さい声だねぇ、君は」頭を触ろうとした途端に理恵は僕の後ろに隠れた。「ええっ、俺、あれれっもう嫌われた?」「まぁな。顔が恐いからなお前は」「そういうお前は恐くないのかよ」武はまったく女に苦手な秀に言われたくないとばかりにらんだ。「理恵、ここに本沢山あるからどれでも好きなの見るといいよ!あの変なお兄ちゃんの事は気にせずに」「その優しい声はどこから出てるんだぁー?」二人はしばらくふざけていた。
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