恋のカルテ

-3


月曜日。朝の早い時間に私は緊張した面持ちで内科の医局のドアを叩いた。

もちろん隣には大津さんもいる。大津さんはとても同期の誰よりも落ち着いてて頼れる。これが森くんだったら私の方がしっかりしないといけない。そう思えばこの組み合わせはラッキーだった。

森くんは、とい言えば同じ内科でも血液内科や神経内科の混合病棟で研修開始となったのだ。世間一般で言えばとても特殊な疾患を扱うことになる。土曜日の決起会ではそのことが話題に上った。森くんはとても不安がっていた。というより、面倒がっていたという方が正しい。早く外科で研修したいと意気込んでいたのが印象的だった。

「おはようございます。今日からお世話になる大津です」

「高原です」

人もまばらな医局で大声を上げると、ソファーで寝ていた医師が迷惑そうに体を起こした。

「お前らでかい声出すんじゃねーよ」

「すみません」

さも迷惑といった様子で怒られて、私は慌てて頭を下げた。するとその医師は、大きく伸びをして私と大津君の顔を見る。

「研修医か……今日からだっけ?」

「はい」

「お前ら、そんなに元気いっぱいでいられるのも今のうちだからな。もうすぐ五十嵐先生が来るだろうからもう少し待ってろ」

「分かりました」

私と大津さんは邪魔にならなそうな場所を選んで壁際によると、五十嵐先生が出勤してくるのを待つことにした。

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