最初で最後の恋

「もうちょっとで治るからね?」


「・・・・・」


「もうちょっと頑張ろうね?」


もう、聞き飽きた。


私はどれだけこの言葉を聞いただろう。


看護師が病室から出ていき、入れ替わりでお母さんが入ってくる。


「大丈夫?」


入ってきての第一声がそれか。


いつもと変わらない、心配性なお母さん。


「大丈夫だから」


幾度となく交わされた会話。


「何か、欲しいものはない?食べたいものとか」


「なにもいらない」


どうせもうすぐ死んじゃうんでしょ?


なら、なにもいらないよ。


「一人にして」


「え・・・・でも・・・」


「お願いだから一人にしてよ!」





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