七月、梅雨がなかなか明けない。雨ばかりで、教習所に行く元気もなかなか湧いてこなかった。仕方なく、バイト先のコンビニとの行き来ばかりを繰り返した。

 亘は研修期間を終え、新しく配属された部署に慣れるまで大変そうだった。週に一度は来ると約束してくれたけど、急に会議が入ったりして約束が反故になることも少なくない。

 それでも来てくれた時はいつもと変わらず優しい。あたしと彼は相も変わらずビールで乾杯して部屋で食事をとる。


「結構水分出てきたなぁ」


 梅酒の瓶をひっくり返したりしながら、溶けていく途中の氷砂糖を見つめた。滑らかで艶があって綺麗。まるで宝石みたいだ。


「あ、悪い。電話」


 着信音とともに亘が立ち上がる。電波のいいところを探しているのか、それともあたしに聞かせたくないのか、電話が来るとベランダに出ることが多い。


「え? マジ? 間違ってた? ……ああ、悪い。助かるよ。……それにしても、まだ残業してるの?」


 声が優しい。誰と話しているんだろうって思う。


「ああ、それか。だったら明日俺も手伝うよ。うん、お疲れ」


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