星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】

3.Secret -百花-



社会人になって一ヶ月が過ぎはじめた。


多い時には、一週間に一度は行われる
AnsyalのLIVEやサイン会も、
去年までのようには参加できなくなった。


出来なくなったのは私じゃなくて、
親友の唯香の方。


祖父の画廊に就職した私は、
ある程度のシフト考慮はあるものの
新人教師の唯香に、そんな配慮はない。




職員会議で遅れた、
仕事が残ってるから抜けられないよー。




唯香のそんな泣き言を聞くことが多くなってきた。



考えたら社会人になって、
唯香と一緒に参戦出来たのは四月の第三週のLIVEと、
この間のGWのLIVE&撮影会だけか……。



そんなことを思いながら、
カレンダーを見つめる。


Ansyalの活動が発表されるたびに、
壁に飾られた、Ansyalのカレンダーにスケジュールを記入していくものの
今週と来週は空白。




託実さまに逢いたいなぁー。





部屋のポスターを見つめながら、
小さく呟いた。



今日の職場への出社は午後からでいいって言われていた私は、
大学時代に運転免許をとって、祖父に卒業と同時にプレゼントして貰った
地下駐車場に停めてある愛車へと向かった。


丸みのある可愛らしいボディーがお気に入りの相棒に乗り込んで、
時折、ふらりと向かう場所は何かを考えたいときに、
静かに話せる場所。



素直になれなくて……最後の最後まで、
傍に居ることが出来なかった、記憶の中の優しいお姉ちゃんと
ゆっくりと対話できる、お姉ちゃんが眠る場所へと車を走らせる。


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