好きになっちゃダメなのに。
EPILOGUE





「それにしても、びっくりした!登場の仕方にも驚いたけど、引き受けてくれたことにもっと驚いたよ」


引き継ぎのあった放課後。

私は速水くんと帰り道を歩きながら、そう言った。



朝、説得しようとしたときには、絶対ムリだと思ったけど。

やっぱり速水くん本人の言葉が響いたのかな。

全校生徒の前で絶対に仲間にする、なんて言われたら、私が須谷くんの立場でもグッときちゃうと思うもん。

きっと、須谷くんも速水くんの本気を感じてくれたんだろう。


仲間として頑張りたい。

生徒会には須谷くんが必要。


私の言葉じゃ信じてもらえなくても、速水くんの言葉は信じられたんだ、きっと。



あのあと須谷くんは、「まぁ、明李ちゃんとの賭けのこともあったし、仕方なくだよ」なんて言っていたけど。

絶対、言い訳だよ。

私が賭けに負けたんだから、という話をした時は全然取り合ってくれなかったんだから。


速水くんに必要だと言われたことが嬉しかったに違いないのに、そんなふうに誤魔化すなんて、須谷くんも案外素直じゃない。

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