それでもキミをあきらめない



「お!? どうしたんだよ、自分からすすんで化粧とか」

「……死なばもろとも、と思って」

「はぁ?」


眉間にしわを寄せる翔馬から視線を外し、わたしは透明マスカラを持つ手に意識を集中させる。



ずっと。

ずっと前から。


わたしは傷つくことを恐れて、目立たないよう過ごしてきた。

教室の隅で、影のように息をしてた。


そういうふうに生きていたのに、罰ゲームで告白されて、心を踏みにじられて。

結局は傷ついたのだ。


目立っても、目立たなくても、どっちにしろ傷つくのなら、

罰ゲームなんてやってきたくだらない連中を巻き込んで、自爆してやればいい。


そんなようなことを言うと、兄は気味悪そうに口を〟へ〟の字の形に崩した。


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