これが恋というものかしら?~眼鏡課長と甘い恋~【完】
第二章 side 恵

①彼と子猫と私

仕事終わりの電車には、いろんな人がいる。

いつもはそんな人たちを観察しながら、時間を過ごすのが好きだけど今日はさっき別れた彼のことが頭の中を占領していた。

高浜勇矢さんか……。

まさか同じ会社にいたなんて、思ってもみなかった。

確かにあの日のことは今でも鮮明に覚えている。

出会ったあの公園の近くの会社だから、派遣会社の人に紹介されたときふたつ返事でOKしたのも事実だ。

メタルフレームの眼鏡にきっちりとした身のこなしからは、少しお堅い雰囲気がするけれど、彼の優しさは出会ってすぐに知っていた。

あの日公園で困っていた子猫と私を助けてくれた。

誰も見向きしなかった私たちふたりを助けてくれたのは彼だけだった。
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