ランバートが治めるヴェッカーズ伯爵領は、国の西側に位置する比較的小さな領地だ。

北にある広大なランス公爵領や、東にある交易の盛んなコールリッジ伯爵領に比べれば一見見劣りするようだが、王国にとってここはふたつの領地と同じくらい重要な意味をもつ土地だった。


ランス公爵領と隣国の境目には険しい山脈が連なり、そこから伸びる深い森が国の西側を覆っている。

北の山越えは国をあげて万全の準備を整えても簡単なものではなく、国王夫妻が隣国へ訪問する際もわざわざ迂回ルートを選ぶほどだ。

国の南側は海に面した大きな港で、東側はコールリッジ伯爵の目が光る大きな交易商業地。


となれば、不法入国のルートとして選ばれ易いのは深い森を分け入って西側から侵入することで、自国や他国から逃れた犯罪者たちが潜むのも森の中だった。

神の楽園と呼ばれるほど平和なこの国でも、どうしても治安が乱れやすく、様々な争いの火種としていちばん警戒が必要とされる場所でもある。


よって、300年の平和が続く国中で、最も訓練され実践的な力をもつ兵士たちがいるのもランバートの治める領地であり、ヴェッカーズ伯爵家の所有する兵だった。

この作品のキーワード
ファンタジー  王子様  公爵  恋愛  あまあま  キス  トリップ  溺愛 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。