13年に一度の、特別な今日。

街は厳かな興奮に包まれ、各地から集まった貴族や、少しでも邸の側からお祝いをしようという人々が、ラズベリーをもつヴェッカーズ伯爵の邸を目指している。


「ウェンディ、ほんとにほんとに、無理して出席することないんだよ。僕もこれに出るのは初めてだし、父上だって13年前は礼儀上ほんの少し顔を出しただけですぐに帰ったって言うし、今年は僕に押し付けて出席しないって言うし、それに……」


ウェンディは馬車の中で、昨日邸を出発したときから何度も何度も聞かされるエドガーの話を聞き流し、伯爵邸へ向かう着飾った人々を見ていた。

コールリッジ伯爵邸からヴェッカーズ伯爵領までは距離があるので、昨日の日が高いうちに出発し、途中で宿をとったのだ。


はじめのうちは丁寧に「大丈夫だから心配ない」と返していたのだが、エドガーもウェンディの意思をわかっていて、それでも言っていないと不安で仕方がないのだろう。

心配性なのだ。

きりがないので、もう好きなだけ言わせておくことにした。


だいたい、ウェンディがランス公爵邸から帰宅した日から、父と兄の様子がおかしすぎて屋敷内はてんやわんやだった。

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