舞踏ホールの中心に楽隊が集められ、18時の大円舞曲に向けて準備が進む。


エリナは談笑し合う人々の間を縫い、男性から円舞曲のパートナーにと声を掛けられては断り、ランバートの姿を探していた。

途中、ホールの壁際で顔を寄せ合って楽し気に話をしているウィルフレッドとウェンディを遠目に見かけたが、声をかける余裕はなかった。


(どこにいるんだろう。ホールで私を探してくれって言ってたけど、落ち合う場所を決めておけばよかった……)


収穫祭が、こんなに人で賑わうものだとは思わなかったのだ。

各地から集う貴族はもちろんのこと、収穫祭への参加資格は特に問われないぶん、衣装を準備できる程度に裕福な者や商家の者も多く参加しているらしい。


普段は社交界とは縁のない者の比率も高く、他の夜会にはない熱気がある。


キョロキョロと辺りを見回しながら早足に会場を歩いていたエリナは、突然誰かに腕を掴まれて声を上げた。


「きゃっ」


驚いて振り向くと、腕を掴んだのはランバートだった。

開催のあいさつをしたときとは衣装が変わり、見違えるほど目立たない色遣いになっている。


普段の威風堂々とした雰囲気もなんだか薄れていて、エリナが探していたランバートの姿とは少し違っていたので、見つからなかったのも仕方のないことのように思えた。

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