【完】キミと生きた証
「じゃあ、付き合おう。」


「でも・・・あたし・・・死ぬかもしれない・・・。」



「俺だって明日事故って死ぬかもしれない。一緒だ。」


「確率が・・」


「うるせぇな。これだから進学校のやつは・・・。」



あたしの話を全部聞いて、最後まで取り乱すことなくどこか冷静で。


瞬ってやっぱり見た目通り強いんだって思った。



「ちぃ・・・。」




ぽつりとあたしの名前を呼んだ。


その顔に表情はなくて、でも優しい声。




「・・・俺、心臓病とかまだよくわかんねぇから。・・・教えてほしい。これから。なるべくたくさん。」


「うん。ありがとう。」


「・・・俺も調べるけど、さ。」



そういう瞬の手元をみると、かすかに震えてた。



あたしの視線に気づいたのか、ごまかすようにグーパーし始めた。




「・・・瞬の手、震えてる。」



「・・・ちげえよ。」



あたしがその手をとると、ちょっとひっこめようとした。



でも観念して、あたしの手に包まれた、大きな手のひら。




それはびっくりするほど、冷たくて。




きっと、こんな話されて、本当はすっごく動揺してるんだ。



「びっくりさせてごめんね。」


「いや・・・。言ってくれてありがと。」



1月22日。外は雪。



この日、あたしたちは「好き」って言って、付き合った。






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