【完】キミと生きた証
「・・・別れねえよ」



そう言う瞬を、最後に傷つける。



「なら・・・移植は・・しない。」



「なんでだよ・・。」



残酷なことを言ってごめん。



そういえば、きっと、瞬はあたしと離れてくれる。



優しい瞬に、最後まで甘えて・・ごめんね。



「今まで…ほんとに、ありが…とう。」


声がうまくでない。


「別れたく・・・ねぇ。」




瞬がぎゅっとあたしを抱きしめた。



「生きて別れる方が、あたしは・・・幸せだよ。瞬も・・・きっと、そうだと、思う…っ」




「嫌だ・・・っ。」




・・・また、瞬が泣いちゃった。



「・・・ありがとう。瞬。大好きだった。」



「だから…っ。」




最後の涙を流したとき、時計の針が7時をさした。



面会時間がもう終わる。




「最後にもう一つだけお願い、していいかな・・・。」



優しい瞬はきっと、聞いてくれる。



瞬は涙を拭うこともせずに、あたしを見つめた。






「・・・あたしに、瞬を守らせて。」






今まで、いっぱい、いっぱい、支えてくれてありがとう。




たくさんあたしのために、悩んでくれてありがとう。



この脆い心臓に、ときめきっていう、あったかい鼓動を教えてくれてありがとう。





「瞬と・・・生きれて・・・よかった・・・っ。」









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