【完】キミと生きた証

未来(Side瞬)


Side 瞬


***




あれからもう1か月以上がたった。



10月に入っても、心は空っぽになったままだった。



離れてから、ちとせやちとせのお母さんの携帯に電話をしても、一度もつながることはなかった。



きっと、携帯も変えたんだろう。



心移植のできる南と北の病院にそれぞれ電話もしてみたけど。個人情報の保護っていうのは、意外と頑丈だった。



仁奈子にすら連絡はきてないらしい。




なんで、仁奈子にまで、連絡しないんだ・・?



頭を左右に振って、過りそうになる不安をかき消した。




「でもちーちゃん、しばらく安静だから連絡できないって言ってたし、待ってあげようよ。」



そう言いながらも仁奈子は、しょんぼりと携帯をみつめてる。




仁奈子はともかく、俺のところに連絡なんかよこすわけないのはわかってる。




でもいつか、連絡が来るんじゃないかって。


・・・そう思いたくて。







「武石。」



塾の講師に名前を呼ばれて、返却されたセンタープレ模試を開いた。



公立大学…B判定。



「すごいじゃないか。ようやくスランプ抜け出したな。」



「…はぁ。」



「なんだその返事は。もっと気合いれろ!あと、何度もいってるけど髪の色も戻せ!もう新学期はじまってるんだからな!」



「北工に校則なんてねぇっすよ。」



塾が終われば、空を見上げる。



北でも、南でも・・・。



遠くにいて、絶対生きてるちとせと、つながれるような場所は、空しかないから。






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