Again
そして、葵の一番の気がかりだった寝室問題だが、良いことなのか、悪いことなのか、別にしてあったのだ。案内され内心ほっとしたのは、内緒だ。



住まいでもあるマンションは、最上階のワンフロア。名波商事の持ち不動産の物件でもある。マンションの中で二階がある、メゾネットというやつだ。



紫外線をカットするというガラスで一面を囲んでいる。真ん中にリビングがあり、両端にキッチンダイニング、トイレ、バス、家事スペースで洗濯機や干し物、アイロンかけなどが出来るようになっている。



バルコニーはもちろんないが、洗濯物を干すためにサンルームのような場所があり、そこの一室だけ、窓をわずかに開閉でき布団も干せる。この生活に慣れれば問題ないが、何をするにも個別に専用室があり、いちいち移動しなくてはならず、実に効率が悪いと、ぶつぶつ独り言を言う日々だ。



他にはゲストも泊まることが出来るように、ホテルのような内装にしてある部屋が一室ある。室内を案内されたとき、客が来て、宿泊させることがあるのかと、まだ来ぬ客人に緊張をしていた。

さらにリビングに階段があり、そこを上がると二階に寝室とトイレ、バス、クローゼット。部屋の雰囲気はクリーム色とブラウンを基調として落ち着いている。



ライトや雑貨、小物はブランド物だろう、とても高そうで且つ、品が良い。葵は、自分の身体の芯になじむまで、一体、どれくらいの時間がかかるのだろうかと、どんよりしていた。

覚悟をしていたが、きっかけは何であれ、縁があって結婚したのだから幸せになりたかった。愛情は育めばいいと思っていたが、そんなに簡単なことではなかった。
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