愛しき日々へ
「烈、彼ですか?」
「新しい、弟だよな?チビなんだな。」
二人の男の声にため息をつきたかった。
目線をあげれば見えるのは茶髪の眼鏡をかけた奴と黒髪に緩いパーマをかけてる男。
同い年ぐらいなのに、なんか見下したような目で少しだけむかついた。
「それじゃあ、烈。また一ヶ月後にくるから。
砂羽くん、また一ヶ月後に。」
そういって笹木さんは家を出て行った。
あぁ、やっていける気がしない。
「銀一(ギンイチ)あいつらは?」
「今日は刹那(セツナ)は学校にいってますよ。龍(リュウ)は仕事で夜には帰ってきます。」
「そうか。お前らだけでも挨拶しとけ。」
銀一と呼ばれた茶髪眼鏡がそう答えると父親はそのままどこかに歩いていく。
その背中を見ながら何だかもやもやとした気持ちが溢れないように手を握り締めていた。