クールな彼の溺愛注意報
・近い心、遠い距離
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それから数日後。
「はあ……」
窓際でたそがれるみゆきが、何度目かわからないため息をついた。
「ねえ、紫乃。みゆきどうしたの?」
登校してきた奈子が、みゆきのようすを不思議そうにこそっとあたしに問いかけてくる。
あたしは肩をすくめ、「ちょっとね」と答えをはぐらかした。
柊木くんの突き放す言葉を聞いてから、みゆきはずっとこんな感じだ。
もの憂げな表情で遠くを見つめてるけど、きっと柊木くんのことを考えてるんだろう。
あきらめる……のかな。
でも想いつづけてもむくわれないなら、つらいだけだよね。
「みゆき」
落ち込んだ小さな背中に声をかけて、みゆきのとなりにならんだ。
みゆきはあたしを見上げ、泣きそうな表情を見せる。