真っ直ぐな気持ち
夏休み
 夏休みに入り、1週間が過ぎた。
 美夏が潤と仲良くなるにつれ、智美や直子も、潤に抱いていたイメージも少し変わったのか、篠原潤、彼の友人の坂田航大、そして智美と直子と美夏の5人は、電車で30分ほど離れた場所にある海へ泳ぎに行くことになった。
 彼の事をあまり良く思っていない兄に言うと反対されるので、彼女は女の子だけで行くと嘘をついた。
 何かあるわけではないし、夕方には戻るので問題ないと思ったからだ。
 朝9時に駅に集合した5人は、クーラーの効いた電車で目的地に向かった。
 
 扉が開き、ホームに下りた途端、車内との温度差に面食らった。
「あちー」
「早く海に入ろうぜ」
 5人は駅からまっすぐ海へ向かった通りを歩いて行った。

「きゃー冷たい」
「気持ちいい~」
 到着した時にはまだ人が少なかった砂浜も、お昼近くになるとたくさんのレジャーシートや、パラソルで埋め尽くされた。
 泳ぎ疲れた美夏は、レジャーシートに寝転んだ。
 ちゃんとパラソルで影になった所に身を置いたが、午前中の2時間位でかなり焼けてしまったようだ。
「やだー。ちゃんと日焼け止めクリーム塗ったのに~」
 その横に、篠原潤も寝転ぶ。
「そんなに焼けてないよ」
「そお?」
「何なら、日焼け止め塗りなおしてやろうか?」
「えっ?」
「後ろ向いて」
「いいよ、自分で塗るから」
「背中は自分じゃ塗れねーだろ。いいからほら」
 
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