こんぺいとう

手紙

「文子元気にしていますか。私は初めて暑い正月を迎えました。あと数ヶ月で河原の桜も花をつけることでしょう。三人で食べたコンペイトウが懐かしいです。」

文子は何度も読み返すと手紙を胸に抱いた。雄治が今どこにいるのかは分からない。暑い所とは一体どこだろう。

でもそんな事は今はいい。
雄治は生きている。
たまにしか来ない手紙が、何よりも文子の気持ちに安心感を与えた。

文子は空を見上げる。この空は雄治の見ている空と繋がっているから…。

「待っています。」
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