イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―



最初の年は、可愛いシャーペン。そして、タオル、手帳、美術用色鉛筆と続き、付き合い始めて初めての誕生日は携帯ストラップだった。

次の年はピアスで、次がネックレス。その次が時計で、靴や、ふたつめのピアスやネックレスやらを経て、去年はマイナスイオン。

付き合い始めてからの祥太が誕生日に送ってくれた物は、本人が言っていた通り、彼氏らしいというか身に着けられるものばかりだと、ゆっくりとこれまでの誕生日を回想してから気づいた。

私がこれが欲しい、とデート中に決めて買ってもらったのは、ストラップと靴。
それ以外は、私の好みを聞いた祥太が自分で選んで買ってきてくれた物だけど、長年付き合っているからかどれも私の好みにぴったりですごく気に入ってる。

細いチェーンの先に小さなルビーが揺れるピアスも、オープンハートに小さなダイヤとピンク色の宝石がついているネックレスも。黒く四角い文字盤に数字の代わりにダイヤが埋め込まれているシンプルな腕時計も。
どれもお気に入りでよく使っているものばかりだ。

祥太はそういうイベント性のある事が好きだし、毎年そういう日は大事にしてくれていたんだと、プレゼントされた物を見て思う。
そういういい面だってたくさん知ってるし、ちゃんと覚えてるのに。

なのに……どうしてこんなに祥太との事がぼやけて見えてしまうのか、自分でも不思議で仕方ない。


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