創作料理店に入ると店内はほぼ満席だった。
オーダーしてから料理が運ばれてくるまで少し時間がかかったが、中山との話しに夢中で気にはならなかった。

「今日は朱里さんが仕事してるとこ見れて嬉しかったです」

「私は全然集中できなかったけどね…」

「俺はいつも以上に集中できました」

中山の笑顔に言い返す気も失せる。
でもその笑顔に癒されるのも確かだった。

最後のデザートを頼もうかとメニューを見ていたとき、店内の照明が暗くなりBGMが華やかな曲に変わった。
店員が厨房からホールケーキを手に持って現れると、朱里と中山の隣のテーブルに置いた。

「お誕生日おめでとうございます!」

どうやら隣に座ったカップルの女性が誕生日のようだ。
店内のあちらこちらで雰囲気に飲まれ拍手が起こる。
カップルは照れながら回りに会釈し、朱里と中山も直接隣の2人におめでとうを言った。



「お店がお祝いしてくれるんだね。残念、私の誕生日って先月だったんだよね」

誕生日を喜べるような年齢ではなくなった。けれどもしその時そばに中山がいたらまた違った楽しさがあったかもしれない。

「そうなんですか?じゃあ遅くなったけど今度お祝いしましょうか」

「いいよー…来年で」

来年まで中山との関係が続いていると期待して。

「そういえば中山くんは誕生日いつなの?」

「3月28日です」

「学年ギリギリだね」

「そうなんです。友達にはよくそれでからかわれたり」

「あれ?…そういえば中山くん今年成人式だって言ってたよね…?」

「はい」

大学2年生は二十歳だと思い込んでいた。

「てことは…今はまだ未成年なの?」

「………」

中山の見開いた目と沈黙は肯定だった。

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