Sugar&Milk
年下との付き合い方に戸惑う私と違って、山本は恋愛の経験値が違うのだ。それに私にとってはありがたいことだ。山本と相沢さんが万が一付き合うことになれば、もう子供みたいな嫉妬をしなくてもいいのだから。
「橘もその方が嬉しいでしょ?」
「え?」
山本は私の顔を覗き見る。
「あの子、橘の彼氏のこと、きっと好きだよ」
「気付いてたの?」
「まぁなんとなく。勘だけど」
「今私の心を読まれたかと思った」
「俺そういう感覚は鋭いんだよね」
カップの中身をマドラーで混ぜながら「こわっ」と呟く。
「まぁ頑張れよ。あっちの方が年近いし可愛いからさ」
「山本くん、気を付けないと今の言葉セクハラのモラハラだから」
武藤くんが庇ってくれたから「そうだそうだー! 無神経ハラスメント男!」と疲れてきたテンションで言い返す。山本はついに私たちの言葉を無視することにしたようだ。
あっちの方が年が近い。その言葉が頭にこびりつく。突然現れた相沢さんという不安要素の存在が大きいせいだ。
同い年の同期となら気軽に話せる。瑛太くんもあの相沢って子とこんな風に話すんだろうな。羨ましい。悔しい。どう頑張っても私は瑛太くんと同じ年齢にはなれない。
◇◇◇◇◇
大学の友人と久々に集まったのはクリスマスの数日前。初めは女子3人の予定がいつの間にか複数人に声をかけていたようで、男女混合の10人を超えたから店の奥の個室に案内される。
「朱里と浩輔っていつ結婚するの?」
一瞬浩輔って誰だっけと箸を止め、それが元カレの名前だと思い出して苦笑いで「とっくに別れたよ」と質問者と目を合わさず言った。