倦怠期です!
というわけで、有澤さんもヘルプしてくれたおかげで、在庫チェックは比較的早く終わった。
その後はみんなで、会社近くの居酒屋で晩ごはんを食べた。
今回は冷熱1課メンバープラス有澤さんという、初めての組み合わせだ。

でも有澤さんは施設課の人だし、誰とでも話が弾む性格をしているからか、最初からその場に馴染んでいた。
冷熱のメーカーやエアコンなどの取り扱い機械の話を熱心に聞いたかと思えば、施設で扱っているエレベーターの話を饒舌に語る有澤さんは、入社してまだ半年なのに、ベテランの営業に見える。

有澤さんって、立派に自立している社会人だよなぁ。
私よりずっと大人だ。

ウーロン茶をちびちび飲みながら、屈託なく笑っている有澤さんの顔を見た私は、そんなことを思っていた。


帰りは有澤さんが送ると言ってくれたけど、戸田さんちの通り道な上に、近いことが分かったので、戸田さんが送ってくれることになった。

「有澤さん、お手伝いしてくれてありがとうございました」
「すずのジャージ姿見れたし」
「こらっ!」と私が言うと、有澤さんは笑いながら、「楽しかったな」と言った。

「うん」
「今度誘うときは、“自転車乗ってくるなよ”って言わなくてもいいんだよな?」
「そうですね」と私は言いながら、クスクス笑ってしまった。

「でもお母さんに“晩ごはんいらない”って言っとかないと」
「だな。じゃー、来週か再来週の金曜あたり、久しぶりに行こうぜ。引っ越しも一段落したんだろ?」
「はいっ、了解でっす」
「戸田さん、飲んでないっすよね」
「飲んでないよ。俺下戸だし」
「じゃ、こいつ頼みます」と言った有澤さんに、戸田さんはなぜか「ごめんねー」と謝っていた。


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