倦怠期です!
「は?先月って・・・俺聞いてない」
「え!?だって・・・」
「なんで俺に言わないんだよ」
「誰にも言ってないけど。あぁでも、管理の人たちは知ってる。引っ越して住所変わったから、届け出さないといけなかったし」

なんで私、こんなに弁解めいた言い方してるんだろう・・・。
しかも最後は「ごめん」って謝ってるし。

「で?念願の一人暮らし始めたのか?それとも彼氏と同棲か。だから誰にも言ってないのか?それで先月は誘っても断ったのか」
「ち、ちがっ!家族も一緒だもん!」と、むくれながらムキになって私が否定すると、なぜか有澤さんの機嫌が直ったような気がした。

「あ、そ。そういうことなら送ってやる」
「だから別に送らなくてもいいって。それに今から在庫チェックするから、まだ帰らないし」

月末に、下の倉庫にある在庫をチェックするのは営業の仕事だけど、私も都合がつけば手伝うことにしている。
在庫をこの目でチェックすることで、記録につけてるノートと実際合っているか確認するためでもあるし、私一人加わったところで微力には違いないけど、少しでも早く終わればいいなという思いもある。
冷熱の場合、施設や医療と違って在庫があること、そして在庫量も結構あるから。

「あー、冷熱の在庫チェックは大変だからなぁ。おまえ、またあれ着るのか」
「そうだけど?」

「あれ」とは、高校のとき着ていた、緑色の体育ジャージのことだ。
下の倉庫で在庫チェックをするので、「汚れてもいい服持って来い」と因幡さんに言われた私は、高校のとき着ていた、緑色の体育ジャージを持ってきた。
最初、私の姿を見た因幡さんと戸田さんは、ゲラゲラと笑ったんだよねー。
そんな二人だってジャージ着てたのに!
・・・もちろん、高校のじゃないけど。
以来、「すずはジャージで在庫チェックする」というのが伝説化してしまった。

「そっか。じゃあ俺も手伝う」

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