黒色女子を個人授業
「そりゃあ毎日見ててくれる人がいれば、さぞ楽しいでしょうよ」花は頬杖をつきながら、気だるそうに言った。

「だから、そんなんじゃないって」変わらず不機嫌な花に、私の返事も徐々に苛立ちを帯びてくる。

「しかも、ピンチになれば駆けつけてくれる王子様? そりゃあ気合いも入るわよねぇ」マドラーで乱暴に紅茶をかき混ぜる花は、見るからに恨めしそうだ。

「ほんとに、そんなんじゃないんだってば」私はうつむきながらオレンジジュースのストローをくわえる。

その言い方じゃあ、まるで私が大城さんに恋してるみたいじゃないか。

そんなの私には似合わないし、らしくない。


「28にしてやっと女であることに目覚めたか。遅かったわね」

「もう、やめてよそういう言い方」

花はすぐ意地悪なことを言って私をからかおうとする。

「それで?」と、花が切り出した。
「大城さんとはどうなったのよ、何か進展あった?」

進展も何も。

何度も行ってるように、私は彼との関係をどうこうしようなんて思っていない。

「あるわけないじゃない……」
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