黒色女子を個人授業
「俺も、天野と一緒だと安心するよ」

ぐるぐる悩んだ結果、俺は悔し紛れに言った。


「俺と付き合ってみる?
気楽なもの同士、上手くいくかもよ?」


「え?」


俺の言葉に、天野は一瞬身を硬くした。


ああ、俺、馬鹿だな。

混乱している彼女にこんなことを言ったって、余計に困らせるだけじゃないか。


天野が何かを言いかけて、唇を止めた。

これ以上待ったら聞きたくない言葉が出てきそうだ。


「冗談だよ。じゃあな、ゆっくり休めよ」

俺は彼女の返事を聞かずに玄関を飛び出した。


結局逃げ出すなんて。俺ってやっぱり臆病者だ。
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