神風の如く





「あぁ、こいつが不逞浪士どもに襲われてた小娘だ


ただ、5人のうち4人はコイツがやっつけちまってたがな」






そう言って眉間に皺を寄せるのは土方、と呼ばれた男





「えっ! この子がですか?
見えないなぁ~」





驚いているのかいないのかわからないような色白男の口振りを無視して、土方という男は華蓮に近づいた






「さて、お前は何者だ?
先ほどの体術といい、その着物といい」






体術……?






空手のことかな─────






華蓮の顔を覗き込んだ男の後ろには、華蓮がこの時代にくる前にも見た月が輝いていた





その月明かりが少しだけ男を照らし、漆黒の髪をなびかせた男の表情が見える







「…………っ」






なんて、なんて強い瞳─────






不逞浪士と呼ばれていた男たちとはぜんぜん違う






己の芯の強さ、心の強さが表れているようだった






今日はいったい、何が起こっているの?






壬生浪士組───土方─────






こんな名前は偶然ではない






この人たちは後に──新撰組──となる人たちだ






華蓮は頭の中で何かが繋がったように感じると同時に、困惑した








そしてそのまま、池に落ちたときと同じように意識を手放した







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