神風の如く

壬生浪士組のある一日①






華蓮の体調がすっかりよくなったころ、古株、と呼ばれる近藤率いる試衛館派の幹部





既に知っていた近藤、土方、沖田を除き





山南、斎藤、永倉、原田、藤堂、井上、山崎は華蓮の事情を知ることとなった






それを聞いても別段変わることはなく、前と同じように華蓮と接してくれている






そして、どこかに出かけるときは必ず幹部の誰かが付き合うことになっていた







そして、今は洗濯物を干している最中






華蓮がここへ来て、二週間ばかり






これといって変わったこともなく、まもなく文久三年の六月になろうとしていた






それにしても──────






歴史を変えてしまえば、二度と未来には帰れない






このことだけは、誰にも言えず、華蓮は一人で悩んでいた





考えてみると、そもそも華蓮がこの時代にいる時点で歴史を変えてしまっているように思えるが…………





それでも、大丈夫……となると、たどり着く答えは一つだった





───誰がいつ死に、いつどのようなことが起こるかを変えてはならない───





それは未来を知っている華蓮にとって苦痛でしかなかった






歴史が未来のとおりに動くとすれば、もうすぐ幹部の何人かは大阪に行くことになる





そこで起きる事件が、今後壬生浪士組の運命を大きく変えることを知っていた






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