波音の回廊
Legend
 それはある年の夏休み。


 私は両親に連れられて、太平洋側の漁村に一週間ほど滞在することとなった。


 札幌から車で三時間ほどの田舎町。


 ちょうど両親の知人がそこでペンションを経営することとなって、開業記念に招待されたのだった。


 一人娘の私も、無理やり連れて行かれた。


 その頃の私は中堅進学校に通う、高校二年生だった。


 高校はトップレベルの進学校に追いつけ追い越せムードで、やたら張り切っていて。


 生徒たちに連日はっぱをかけて勉強させていた。


 私もその頃成績が上位の方だったため、学校側の期待も大きく、国立大学現役合格を果たすように、日々指導を受けていた。


 期待されるのはいいけれども、その頃の私にはかなりのプレッシャーと化しており、どこかへ逃げ出したい気持ちも抱えていた……。
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