Sweet Lover
13.幸せの香り
「私、本当に料理苦手なのよねー。
 どうりで、社長が振り向いてくれないはずだわ」

春花さんが小さく呟いた。
それはきっと、ヒトリゴトに違いない。

けれど。
聞いてしまったものは、無視するわけにはいかなくて。

私は濡れた春巻きを箸で弄びながら口を開く。

「響哉さんって、アメリカでそんなに人気なんですか?」

春花さんは、目を丸くしてしげしげと私を見つめた。
それから、気が抜けたようにふっと息を吐いて、笑みを浮かべた。

「そうね。
 アメリカでも人気だし、日本でも人気よ」
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