腹黒王子の取扱説明書
「そっちの彼は?」

亮が須崎に目を向ける。

「ああ、これは俺の秘書の須崎」

「これって……俺は物かよ」

須崎が医務室の隅でぼやく。

「それで、彼女どうする?起こすか?」

亮が中山麗奈に目をやる。

「いや、このまま連れて帰るよ。起こすといろいろと厄介だから」

起こしたら一人で帰るとか面倒な事を言いそうだ。

そうなるとなかなか言うことをきかなそうだし。

身を屈めて中山麗奈を抱き上げると、須崎がニヤリとした。

「交換するか?俺の荷物の方が軽いぞ」

俺をからかうような口調にカチンときて、冷ややかな視線を須崎に向ける。

「お前、最近遊んでないし、女に餓えてるよね。狼に渡すのはやめておくよ」

「……どっちが狼だか?」

須崎がポツリと呟く。
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