俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜

距離

結局、ふたりは、

メル友のまま、

それぞれ、別々の高校へと、進学を決め、卒業していった。


“好きだ”とも“つきあおう”とも、無かったふたりだったが、

お互い、他の異性に、メル友は居なかったし、

なにより、

メールのやりとりをした
期間と回数を通して、

「自分の気持ちは、伝わっているはず」と

それぞれが、そのつもりでいたものの、

確信は無かった。



公立の高校に進んだ琴乃は、
もちろん水泳部に所属したが、

順位にそれほど拘らない、
お気楽な部の、そのテンポに、
歯向かえる立場ではなく、

学校のカラーの中で、
上手に、楽しく、友達を増やしていった。


駿祐といえば、

“仲間は、ある意味、良きライバルだ”的な

そんな、殺伐とさえ感じてしまう高校生活の中、

中学の頃、
琴乃の向上心を、あおっていると思っていた自分が、

実は、どれだけ、支えられていたのかと気付き、

琴乃の存在の大きさに、

これまで以上の気持ちを、抱きはじめていったのだった。


相変わらず、メールをしていても、

琴乃の気持ちが、自分ほど深いものではないと思うと、

自分には、これしか無いと思ってきた水泳でさえも、
呼吸が乱れ、コントロールが効かなくなった。
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