無理矢理繋いだ赤い糸


何気なく、さっき目が合った時、思い切り素知らぬ顔をして目を逸らした女を会場内に探す。




「悠也は?誰が好み?」
「なにイキナリ」
「いや、どうせ俺ら寂しい独り身だからさ。誰かお持ち帰りしてぇなぁ、とか言ってた訳」

真面目にそんな事を言ってるダチを見て、変わらねぇなぁ、と苦笑する。
高校、大学時代の、合コンのレベルかよ?って突っ込もうかと思ったけどあえてそのまま、話に乗っかる事にする。



「んー、俺は……香山沙希(コウヤマサキ)?」
「香山?」
「ん、誰か持ち帰るなら、絶対にアイツ」
「香山って確か、高校の時、唯一悠也にオチなかった女だよな?」
「マジ?そんな女いるんだ……香山かぁ…確かアイツって、顔は結構可愛いのに地味だったんじゃなかった?」
「そうそう。でもさっき見たら、なんかすげぇいい女になってたぜ」
「マジかよ?見てぇ!」

盛り上がるダチの会話に思わず舌打ちが零れる。
喧騒のおかげでそれがみんなの耳まで届く事はなかったけど、俺は確実に、イライラし始める。



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