オオカミくんと秘密のキス
オオカミと恋の予感

4人でデート

自分のスマホともう何回にらめっこしただろう…

昨日尾神くんと連絡先を交換したのはいいがまだ、一度もLINEも着信もない。


今日は土曜日で学校は休み。朝から何も予定もなかった私は1日中家にいて、趣味である手芸やお母さんの手伝いをしたりしながら密かに尾神くんからの連絡を待っていた。

昨日はあれから2人で教室を出て、なんだかぎこちない感じで帰った。尾神くんは帰りに家まで送ってくれたけどすぐに帰っちゃったし…






「はぁ…」


リビングのテーブルで雑誌を読みながら、時々スマホに目がいくとため息ばかりが出る。これを何回繰り返したんだろう…


あのオオカミ…

あんなに連絡先聞きたがってたくせに全然連絡して来ないじゃん!

電話はまだわかるけどLINEくらいしてもいいんじゃないの?

こんなこと思ってると、私があいつからの連絡待ってるみたいだけどさ…あんなふうに言われたらちょっと期待しちゃうじゃん。


私のこと好きって言ってたけど本当に好きなのかな…

なんか信じられなくなってきた…というより自信なくなってきた。






「姉ちゃーーーんっ!」


突然勢い良く私に飛びついてくるのは、弟の洋平(ようへい)。このテンションは何かねだられる時だな…




「何よ?」

「明日モンスターウォッチの映画に連れてって!」

「は?映画?」


ほらね。やっぱりねだられた…




「映画なら友達と行けば?ほら…始業式に転校してきた子と最近仲いいんでしょ?その子と近くのデパートにショボイ映画館でも行ってきなよ」

「そこだと限定メダルがもらえないんだよっ!だからS町のショッピングモールの大きい映画館に行きたいの!」


S町って…電車で20分くらいだよね。微妙な距離でめんどくさいな。





「行ってあげてよ~最近物騒だから子供だけで遠出させるのは心配なのよね~」


ソファーでテレビを観ていたお母さんが、キッチンへ行き冷蔵庫を開けながら言う。


私が小学校低学年の時に両親が離婚して以来、私と洋平はお母さんに引き取られ母子家庭に。お母さんは雑誌の編集の仕事をするバリバリの仕事人間だ。




「じゃあ、お母さんが連れて行けばいいじゃん」

「そうしてあげたいんだけど、明日は仕事の人と打ち合わせがてらランチするのよね。お小遣い奮発するから連れてってあげてよ~」


お母さんは冷蔵庫を閉めると、両手を手のひらで合わせた。





「…もう、わかったよ」

「やったああああぃ!お母さんと行くよりは姉ちゃんと行った方がまだいいもんな!」


嬉しそうに笑う洋平。



「お姉ちゃんはよくてなんでお母さんとは嫌なわけ~?」

「お母さんと映画行くなんてかっこ悪りぃじゃん。まだ姉ちゃんの方がマシ」


ブーとすねるお母さんに、洋平は無視するように自分のゲーム機に手を伸ばした。


ま、明日は何も予定ないしたまにはいっか。子供向けの映画だけど家にいるよりはいいかも…春子も今日明日は用事があるから遊べないしね。
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