ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
プロローグ
大理石の廊下、宝石でできた装飾品、色とりどりのドレス。

目に映るどれもが豪華絢爛で煌びやかなもので溢れた、この箱庭。

他人からは羨ましく思われるだろうこの生活は、私にはもううんざりだ。


自分に与えられた使命からも逃れることは許されない。

私の未来に、私の決定権はない。


なんのために生きるのか、と父に聞いて返ってきた答えは「国民のため」だと。


あまりにも抽象的で、重かった。


だって、想像すらできない。

この国の民を、私は誰一人知らなかった。


知らないもののために犠牲になるのだと思っていた時だった。


中庭で佇む1人の少年を見つけた。


私よりは年上なのかもしれなかったが、そこまで年齢差を感じなかった。

声をかけようかと思ったけど緊張してできなくて、そっと柱の陰に隠れて見ていた。

光が降り注ぐ中、庭の花が色鮮やかに咲き誇る。

その少年が杖を一振りすると、音もなく優しい雨が降り注いだ。

すぐに目を奪われた。

中庭の花達がキラキラと輝いてより一層美しく咲いている。

それを見た彼が優しそうに微笑む。


その姿を見て世界が色づくような感覚を覚えた。


「きみもおいで」


彼は私に気づいたようで、優しい笑顔のまま手招きをした。

私は弾かれたように駆け寄った。
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