ド天然!? 魔女っ子の秘密【2】
*第1章*

絶対命令

色とりどりの花が咲き乱れる季節が今年もやってきた。

1年越しの春に心が踊って、いてもたってもいられず外に飛び出した。

暖かい陽が降り注ぐ穏やかな午後、うんと背伸びをして庭を歩く。


ああ、庭と言ってもうちの庭ではなくて。

ここは翔太の家の庭だ。


ああ、自己紹介を忘れていました。

神崎由良(かんざき ゆら)、18歳。

実家は代々続く魔法屋を営んでいて、魔物退治が主な仕事だ。だけどどんな依頼だって引き受けるから、何でも屋の方が近いのかもしれない。

あたし達のお店の名は、"ガーネット"。

魔物退治において最強とも言われているし、その自負もある。

なんてったって、あのお父様が当主だからね。

身内だろうが容赦なくスパルタで、逆らえないほど威厳もたっぷりだから、物心ついたときから一度もお父様のことを「お父さん」「パパ」なんて呼んだことはない。

だけど、いつだって尊敬している。

遠い未来、あたしが"ガーネット"を受け継ぐ時には、お父様のような、お父様に恥じないような、そんな人でありたいと思う。


だからこそスパルタなお父様の修行や依頼にも耐えられるんだ。


"ガーネット"では、隊を組み、少人数のグループで依頼をこなすことが基本なのだけど、あたしはどこの隊にも属せず一人で依頼をこなしている。それも結構大変な魔物退治の依頼ばかり。

この前の9つの首と毒を持つ竜ヒュドラの討伐も相当苦しめられたし、火の竜ワイバーン討伐も大変だった。

あたしが受けてきた依頼の中でも結構変わり者の依頼は、「ソルテリッジ魔法学園への編入」。

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