*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
「ふっ……」


ココアを飲むヤマジをしみじみ眺めながら、ふと笑みがこぼれた。


「……何?」


「いや……別に……。ヤマジ君はココアが似合うなぁ……って思って」


「何だよ、それ」


ヤマジは整ったキレイな顔をほんの少し歪ませた。


王子様キャラといえば、ホントはオレなんかよりこいつの方が似合ってる気がする。

細い体に色素の薄い肌と髪。

小さな顔に不釣合いなぐらいの大きな黒目がちの目。

美少年という言葉がこれほど当てはまるヤツをオレはこいつ以外で見たことがない。

襟を立てた黒いコートにトリコロールカラーのマフラー。

肩にかけたベースケースもファッションの一部みたいに、サマになってる。


ヤマジはどちらかと言えば無口な方だ。

でも、それには理由があった。

彼は中2の時に関東の方(東京だか神奈川だか、よくわかんないけど)から転校してきた。

いかにもって感じのキレイな顔立ちでキレイな言葉を話す彼を、女子は憧れの眼差しで見つめ、男子はウザイとからかった。

黙っていてもこの容姿だから充分目立ってしまう彼は、いつの間にか口を閉ざすことで、自分の存在を消す術を覚えてしまったのかもしれない。



「シィ?」


「ん?」


「あれ。いいの?」


ヤマジがあごを突き出してジェスチャーする。

その視線の先には……
< 42 / 417 >

この作品をシェア

pagetop