*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
――ユウ


と、オレの知らない男。


高校に入ってすぐに付き合い始めた浅野ってヤツでもなさそうだ。

ユウの表情から、単なる男友達ではないということだけはわかった。


「あいつ……。また、男変わったんかな」


見たままの感想を言った。

できるだけ、感情を悟られないように。


なのに……。



「あの男とは、まだ付き合ってないみたい。でも、またもってかれちゃうよ?」


――もってかれちゃうよ?



「ブッ……。うわっ……あつっ……!」


さらりと言ってのけるヤマジの言葉に、動揺を隠しきれず思わずコーヒーをこぼしてしまった。


「えっ……。なんやねん、オマエ。何、言ってんねん?」


ヤマジは、片方の眉と口の端を上げて、少し意地悪そうな顔でオレを見つめて、それからまた視線をはずした。


――ああ。

オレの気持ちなんて、全部、お見通しってわけか。


「はぁ~……」


大きなため息をついてうなだれた。

体の力が抜けて、へなへなとその場でしゃがみ込んでしまった。


「バレバレやった?」


多分、今、顔から耳まで全てが真っ赤になってると思う。


「ま……ね。急に進路変えたのも、そのせいでしょ? みんなわかってんじゃない? だから、誰も手ぇ、出してないじゃん?」
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