家政婦という仕事はこれが初めてで一般的な家政婦のシステムはよくわからないが
ここ竹原家政婦紹介所では所長の竹原がお客様に合った担当者を選び
その後お客様と担当者となる人間の顔合わせをする。問題がなければそこで契約成立。
基本、家政婦にお客を選ぶ権限は全くない。
契約は1ヶ月毎の自動更新だ。
途中でなにか不都合があり担当者を変えたいとお客様の要望があれば
自動更新の1週間前に申し出をすれば担当者を変えることが出来るというシステムだ。

そして所長が私の派遣先として選んだのが
山岡物産の副社長、水沢尊だった。
私になんの権限もないのはわかっているが、どうしてよりによって前に勤めていた会社のそれも副社長の
家政婦をやらなきゃいけないんだ。
文句を言いたいけど目の前に本人が居る手前何も言えない。

水沢尊は私が最近まで勤めていた会社、山岡物産の副社長だ。
秘書課にいたとき、何度か顔を合わせることはあったが
会話という会話はほとんどなかったし同じ会社にいるってだけで
何の接点もない人だった。あれだけのイケメンだからプライベートは派手だとは思うけど
実際の彼を私は全く知らない。
そんな副社長が今目の前にいる。

会社ではいつもビシッと高級ブランドもののスーツを着こなしているが今日は会社を休んだのか
とてもカジュアルでオシャレなジャケットに長い脚がより長く見えてしまうような細身のジーンズ姿だった。
そのオンとオフのギャップにドキッとしたが、それは一瞬の事。
今の私は別の意味でドキドキしていた。

冗談じゃない!なんで私が?
他にもふさわしい人がたくさんいるじゃない。
・・・この気持ちをどこへもってけばいいのよ

っていうか・・・
私って退職理由が秘書よりやりたいことがあるといってやめたんだった。
専務に考え直したら?って何度も言われたのに
夢のためですからって言ったっけ・・・この事が副社長の耳にもし入ってたら・・・

この女、秘書をやめてまでやりたかったのは家政婦だったのか

とか思ってたりするのかな?
しかも今の私は秘書課にいた時のような小洒落服装とはかけ離れた
ナチュラルメイクで髪の毛だって下ろしている。
服装だって凄くカジュアルだ。
カジュアルといっても副社長のカジュアルとはレベルが違う。
あーどうなっちゃうの?

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家政婦  秘書  副社長 

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