いつかすべてを忘れても、きみだけはずっと消えないで。
○prologue○


桜がひらひらと舞う中で、
愛おしいきみが無邪気に笑う。


26歳を迎えたきみのてのひらには、
一冊の古びた日記。


その日記の中には、きみがひとりで
抱え込んでいた恐怖や不安、

そして、いくつもの涙の跡が
記されていたね。


あの頃、高校生だった俺には
大切な人がいて、
幸せな日々は毎日続くんだと、
そう思ってた。


だけど、そんな俺の大切な人は、

『記憶がだんだんと消えていく』

という原因不明の病を患っていました──



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