センチメンタル・スウィングス
「今の俺には、桃にタバコ臭い息をふっかけたくないという、強力な動機ができたからな。はっきり言ってこの賭けは俺の楽勝だ」
「だから俺はよせと言ったんだ。桃子、おまえに勝ち目はない」
「な・・・そんなの、やってみないと分かんないでしょ!」
「あーそーだなー。じゃーこの賭け、やってもいいんだな?」と、探るような目つきの和泉さんに聞かれた私は、「もちろんっ!です」と鼻息荒く答えた。

「よし。始まりは今日から・・・」
「今朝吸ったんですよね」
「それは賭け前の話だからノーカウント!」
「確かに・・・そうですね。じゃ、今から1ヶ月後の3月3日のお昼の12時まで、和泉さんが禁煙できたらその・・・和泉さんの勝ち、ということで」
「俺とおまえがつき合う」
「今言わなくてもいいです!それより何より、この賭けは私が勝つんですからっ!」と勢いよく私は言うと、挑むような目つきで和泉さんを見た。

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