センチメンタル・スウィングス
「私が言うこと、ホントに何でも聞いてくれるんですね?」
「ああ。但し、ひとつだけな」
「いいですよ」
「それから、殺人や強盗といった、法律や倫理に反する行為は、受け入れるわけにはいかない」
「わ、分かってます!」
「よし。これで賭け成立だな?零士、おまえは証人だ」
「俺としては、妹が負けると分かっている賭けの証人になることは、非常に不本意なんだが・・・」
「お兄ちゃんっ!」
「はいはい分かったよ。俺が証人だ」と面倒くさそうに言う兄を、私はジロッと見た。

もう。
お兄ちゃんまでそんな態度だからなのか、この時私の脳裏に浮かんだのは、「もう引き返せない」という言葉で・・・。

怖いと思った。

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