君の事を。
そんなわけで久々の昼休みを自分なりに有効に過ごそうと、外のベンチに腰掛ける。

空を見上げると、眩しいばかりの春の日光。

もう春なんだなぁ、なんてオヤジくさい事を考えながら。

煙草をふかす。

…煙草は、やめたはずだったのにな。



考えないようにしてるはずなのに。

自然と思考回路がそちらに向かってしまう。

“ちょっと!
体に悪いから辞めなよ!”

…君が俺の事を考えて言ってくれてるのは分かってた。

ありがとうって、いつもそう言いたいのに。

口をついて出てくるのは憎まれ口ばかり。

“…年下のくせに、大人に何立派に説教しようとしてんの?”

“せっ、説教?!私は…“バイトで会社入ってきたばかりの頃は、あんなに純情で可愛かったのに。”

俺がそう言うと君はいつも頬を少し赤くしながら。

“今だって、学校では人気者だもん…”

それが、妙に可愛くて。

煙草を灰皿に押し付けながら。

“知ってる”

“嘘…っ“知ってるよ。”

赤く染まった頬を、撫でながら。

“だから、気が気じゃ無いんだよ。俺のそばに、お前がいない間。”

その言葉に、満足そうに微笑む君の顔は今ではもう。

思い出せない。
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