身長差43センチのふたり。



『――動物園!?いいなぁ~っ』


放課後、先生の呼び出しをくらってしまった千尋くんを待っている私は、同じく久松くんを待っている華ちゃんに今日の昼休みの千尋くんとの会話を話していた。

久松くんは整美委員会の仕事があるんだって。

今週末、千尋くんと動物園にデートに行くと言うと、華ちゃんは目を輝かせて羨ましいと口にした。


『日曜ってホワイトデーじゃんっ!高遠…何か雛乃にサプライズでも用意してんじゃないの~?』

「えっ!?」


忘れてた。華ちゃんに言われて気づく、今週の日曜は3月14日でホワイトデーだってこと。

そっか…、だからデートに誘ってくれたんだ…?

あの甘いバレンタインから1か月も経ったのだと思うと、時間が過ぎていくのは早いなと神妙に思えてくる。

バレンタインの時に交わした千尋くんとのキスを思い出して身体が熱を帯びていくのを、前の席に座っている華ちゃんに悟られないように鼻を掻いた。


「そうかな…?」

『そうに決まってる!いいなぁ~。私もどっか行きたいーっ!』


宏太はどこにも連れてってくれない、と久松くんの愚痴をこぼす華ちゃんだけど、久松くんのことを語る華ちゃんの顔はすごく幸せにあふれていた。



< 325 / 384 >

この作品をシェア

pagetop