偽りの自分。


頭を下げた。
 

『...え、桜田?誰に謝ってんの。』
   

男子たちの声がする。


頭を上げると、
カイトは自分の席から無表情で
あたしを見ていた。



『あたしは...最低な奴です....
本当は友達なんてただの引き立て役だと思ってた。彼氏だって、私にとってはただの飾りで、全然好きじゃなかった。』 


教室が静まり返る。



あたしの突然の告白に、
吉野たち女子や、カイトは
もちろんのこと皆動揺を隠しきれていない。





『自分がなんでも1番じゃなきゃ嫌なのに、
突然私はミスじゃなくなった。そんなの許せなかった。』


 
『最低じゃん。』

美香の声がする。



『そうだよ、最低なの。
友達も、彼氏も、あたしから
離れて行きました。』


あたしは、涙を袖で拭いた。


『そんなあたしでも...吉野絵理花。
アンタだけは...好きになれなかったのに
味方でいてくれた。』 



ふと、吉野さんに目をやると、
あたしを真剣な表情で見つめていた。





『散々酷いこと言ったりしたのに、
アンタだけは.....。
勉強も、運動もできて、性格も良くて。最初はムカついてたけど、嬉しかった。』


すると、吉野さんは口パクで言った。



“友達だよ”
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