イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
彼からペンを受け取ると、私は婚姻届と対峙した。

何が悲しくて牛丼屋で婚姻届書かなきゃいけないの。

でも……私にはそんなシチュエーションがお似合いなのかも……。

私は絶対に隣の冷血メガネ男となんか結婚しないけど。

半ば自棄になって署名すると、私はバッグに入れていた指輪を取り出して婚姻届の上にコツンと音を立てて置いた。

「この指輪はお返しします。姉のだし、私には大きすぎますから!」

暗に自分には鷹司さんと結婚する意志がないことを告げる。

姉が戻るまで……私は人質。

そういう事だよね?

鷹司さんだって本気で私と結婚する気はないだろう。

反抗心むき出しの目でキッと鷹司さんを睨み付けると、彼は自分のはめていた指輪も外し、私が書類の上に置いた指輪と一緒に手に取って眺める。

「ああ、忘れるとこだった。小道具とは言え、これは重要アイテムだ。サイズは合ったものにしないとな、桜子」
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