イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「あっ、ごめん、ごめん。でも、式の直前で逃げてその式はどうなったの?相手はあの鷹司先輩でしょう?」

うっ、やっぱりそこ気になるよね。

これ以上追及されないようにと願いながら、私は正直に奈々子に小声で告げた。

「……式は中止にせず……私が……花嫁代理を……」

「桜子が?だから、その指輪してんの?」

「そう……です」

私は嫌々認める。

もういい加減、この話題はこれで終わりにしたい。

精神的にぐったり疲れる。

でも、奈々子の追及は終わらなかった。

「じゃあ、その首筋についてる鬱血痕はどう説明するわけ?それも、薫子さんの代理でされたわけ?」

私の首筋を何やら訝しげな様子で奈々子が指差す。

「鬱血痕って?」

「俗に言うキスマークよ」

「え?え?キスマーク‼」

この私にキスマーク?

私は訳がわからず首を傾げる。
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