イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「やっぱり気づいてないんだ。虫に刺されたとは言えないくらいくっきりついてるけど、相手は鷹司先輩なの?」

「どこ?どこについてるの?」

奈々子の質問そっちのけで、私は自分の首にペタペタと触れる。

「髪の毛で隠れることもあるけど、ここよ」

奈々子が立ち上がって私の首筋に触れ、ポケットからスマホを取り出してパシャっと写真を撮る。

「ほら、見てご覧なさい」

奈々子が私にスマホを見せる。

写真を見てみると、確かに首筋に赤紫の痣のようなものがくっきり。

「あちゃー」

刹那さんも教えてくれればいいのに……かなり意地悪だ。

「あちゃーって……。身に覚えはあるんでしょうね?」

腕を組み奈々子が私を見据える。

これも言い逃れは出来なそう。

「……うん。実は……刹那さんのところに同居してて、昨日……私……寝ぼけて刹那さんを襲っちゃったらしいんだよね。小説に出てくる王子と間違えて……。だから、その時刹那さんに仕返しでやられたのかも……」
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